インドでは釈迦の時代(紀元前5世紀頃)護摩壇に捧げる植物とされ、「奨水」として顔をのぞかせ、「生薬」としても登場していました。
インドの古典医学書「スシュルタ本集」の中に「血液が流出せざる場合に使う」とか「鎮静効果をもつ植物」として紹介されています。
ヒンドゥー教ではウコンを神聖な植物として考えられているそうです。人々が身につけている銅製のお守りの筒や、儀式に使われる糸のほとんどは、ウコンで染められているといいます。
ウコンには邪悪なものを近づけない、魔力が秘められていると信じられているからです。
インドの結婚式の日、花婿と花嫁は全身にウコンの粉末を塗り、いざ式になると、二人はウコンを火にくべて結婚を祝います。インド人たちは、ウコンに浄化作用があると考え、あらたな人生の出発にウコンの力を借りるのでしょう。古くからインドの結婚式でウコンは重要なものとなっています。
インドのベンガル地方の村では、子供たちがちょっとした怪我をしたときなどに“ウコンでも摺りこんでおけ”などというのを耳にすることがあります。
さしずめ日本での“あかぎれに生味噌を摺りこんでおけ”と同じような調子で、インドの人々の日常生活の細かいヒダの奥までウコンの匂いは染み込んでいるようですね。
実際、ウコンには殺菌作用もあって、病原菌を寄せつけないといわれ、かつては毎日の沐浴の後に、ウコンを擂った物を油とともにからだに塗る習慣があったようです。
ウコンは化粧品としてインドの女性たちに愛用されているといいます。ウコンにレンズ豆の粉と紅色のサフランを加え、それを肌に塗るというものです。さらに生ウコンとレンズ豆をすり、牛乳で練ったものは顔にシミを防ぐのにいいそうです
。これは昔のインドの話ではなく、南インドの街を歩くと、今でもウコンで顔をうっすら黄色く染めた女性を見かけるといいます。インドの女性たちはウコンが肌を美しくすることを知っていました。